[助産師解説]出産時の呼吸法4種と陣痛〜分娩中の呼吸の変え方
「安産にしたい!」「陣痛の痛みを和らげたい!」というプレママのため、4種の呼吸法を全て紹介!!
さらに実際に陣痛が始まってから出産まで段階ごとにどう呼吸を変えた方が良いか、現役助産師さんが解説します。
呼吸法で痛みを和らげる”オキシトシン”・”β-エンドロフィン”を味方につける
出産、陣痛、と聞くと痛いもの、苦しい、辛いものとネガティブなイメージを持たれている方が多いかと思います。
そのネガティブ要因を取り除く秘訣は「オキシトシン」と「β-エンドロフィン」というホルモンです。
さらに、陣痛は「オキシトシン」の分泌で始まります。
「オキシトシン」はリラックスしている時や、ハグをするなどスキンシップで「幸せ」と感じた時に分泌される「幸せホルモン」の一つです。
「β-エンドロフィン」はリラックスしている時、痛みを感じる時に和らげようと分泌される「幸せホルモン」の一つです。
逆に、痛かったり、怖かったり、緊張していたりすると、アドレナリンが分泌されます。
このアドレナリンによって、身体に力が入ってしまい、痛みを余計に感じやすくなってしまいます。
またアドレナリンが出ていると、オキシトシンやβ-エンドロフィンは分泌されず、良い陣痛・出産が難しくなります。
みなさん、怖い時、苦しい時、緊張している時、息をとめてしまった経験はありませんか?
人はパニックに陥ったり、極度のストレスがかかると普段通りの呼吸ができなくなってしまうことがあります。
出産の時に呼吸がうまくできないと、悪循環に陥ってしまいます。
①体内に酸素を取り込めない。
②すると、子宮に向かう血液の流れが悪くなる。
③結果、子宮環境が悪化、赤ちゃんへの酸素量も少なくなる可能性もあります。
④さらに身体の筋肉が硬くなり骨盤が広がりにくくなるなど、お産が長引く原因にもなります。
⑤また、エネルギーを消耗しやすく、いきむ際に体力が残っておらず、うまくいきめなくなってしまうこともあります。
これを回避する方法が「呼吸」です。
日頃から、ゆっくりした呼吸で体がリラックスしていれば、良いタイミングで「オキシトシン」が分泌され陣痛が始まり、
その後もゆっくりした呼吸を続けることで、「β-エンドロフィン」が出て陣痛の痛みが和らぎます。
こうして、お産がスムーズになり、安産・良いお産となりやすいです。
また、ホルモンにより副交感神経が作動して、精神的にもリラックスさせてくれます。
- リラックスできる
- 痛みが軽減される
- 体力が温存できる
- 良い陣痛につながる
- 産道が広がりやすくなる
- 赤ちゃんに十分な酸素を送ることができる
副交感神経が優位になる
呼吸に集中することで痛みが紛れる
子宮も筋肉です、余計な力が入ってしまうと子宮筋も疲れてしまって陣痛が弱くなってしまうこともあります
産道を通っている時赤ちゃんは身体を押しつぶされて苦しいのです。しっかり呼吸をして赤ちゃんに酸素を送ってあげましょう。
呼吸の基本は「吐くことに集中」
妊娠中に呼吸を練習する際の基本をお伝えします。
腹式呼吸を意識して取り組んでください。
- 呼吸しやすい姿勢をとる
- 吐くことに集中する
- 陣痛をイメージしながら繰り返し練習する
まず、あぐらをかくか、いすに座り、肩の力を抜きます。背中と腰は反っていると呼吸が浅くなるので、軽く丸めます。これで呼吸法をする準備を整えます。
次におなかに軽く手をのせ息を吐きます。コツは、ろうそくの炎がゆらぐくらいの強さで、細く長くフーッと息を吐くこと。吐ききったら、おなかをふくらませるように意識しながら息を吸い、また同じように吐きます。人は息を吐けば自然と吸うことができるので、吸うことはあまり意識しなくてもOK。
「吐いて吸うこと」を 1 セットとして「1 日 5、6 回」気がついたときに行ってみましょう。陣痛は波として表現されます。長くても 50~60 で一回の陣痛は終わります。痛みの波が押し寄せてくるとき最初は弱い痛みが徐々に強くなっていきそしてまた引いていきます。陣痛をイメージしながら呼吸法を練習してみると良いですね。
4種類の呼吸法と特徴
次に、4種類の呼吸法をご紹介させていただきます。
希望の出産に合わせて、取り入れていただけたらと思います。
- ソフロロジー法
- ラマーズ法
- リーブ法
- ヒプノバース
ソフロロジー法はヨガと座禅が取り入れられた呼吸法で、基本のポーズはあぐらです。
できるだけ長く息を吐くことで身体がリラックスし、余計な力を入れずに出産に臨むことができます。
「意識的に吐く呼吸法」をとりいれています。
1952年にフランスのラマーズによって提唱された呼吸法で、病院などの環境が整っていない中で出産を無事に行うために開発されました。
「ヒッヒッフー」というパターン化された腹式呼吸と弛緩法の組み合わせです。
日本では 1960年代末から行われるようになりました。
陣痛が弱いうちは、ワルツのリズム(三拍子)に合わせて、ゆっくりと呼吸を行います。
陣痛が強くなってきたら「ヒッヒッフー」の呼吸に切り替え、ヒッヒッと息を小刻みに行い、フーのタイミングで長めに息を吐きます。
気功を利用した分娩方法のこと。
Relaxation(リラックス)、Imagination(イメージ)、 Exercise(エクササイズ)、Breathing(ブレス)これら4 つの頭文字を取ったのがRIEB(リーブ)法です。
リーブ法でもっとも特徴的なのは、逆腹式呼吸を行うことです。
息を吐くときにお腹を膨らませ、吸うときにへこませます。あるがままの状態を受け入れて心と身体をコントロールしていきます。
自己催眠法やリラクセーション、呼吸法などを用いて、女性の身体に本来備わっている自然出産力を引き出す出産準備のプログラムです。
「催眠出産」とも言われています。
あのキャサリン妃もヒプノバース法で出産したそうです。
呼吸を整え、瞑想をしたり、出産に対してポジティブな思考を持つことで、気持ちを落ち着かせ、リラックスし、できるだけ自然で穏やかな出産をするという方法です。
陣痛が始まってから分娩中の段階的な呼吸の変え方
陣痛がきたら…
楽な姿勢をとり、自分のペースでゆっくり深呼吸しましょう。
フーフー呼吸 : 3秒かけて鼻から吸い3秒かけて口から吐くお腹を膨らませるように息を吸い、
遠くのろうそくの炎がゆらぐようにゆっくりと吐く吐くことを意識しましょう。
いきみたくなってきたけどまだいきんではダメな時…
赤ちゃんの頭がさがってくるとだんだんとお通じを出したい感じがしてきます。
ただ、この時期にいきんでしまうと赤ちゃんが苦しくなってしまったり、子宮の出口が切れてしまったりするのでいきみ逃しをしましょう。
フーウン呼吸 : 3秒かけて口から吐き息を吐き切ったら「ウン」と軽くお尻の穴を閉じ、力を抜きます。
いきみ方…
子宮の出口が全部ひらき赤ちゃんがある程度下がってきたらいよいよ、赤ちゃんが出てきます。
いきみを上手にすることで、お腹に強い圧力が加わり、赤ちゃんを産道に押し進め、分娩の進行を早めることができます。
助産師から「いきんでみましょう。」の声があったら、いきんでみましょう。
両足はしっかりと開き力を抜いておきます。
陣痛が来たらまずはゆっくりと息を吐きます。
その息を大きく吸っていきんでみましょう。
息を止めたまま硬いお通じを出すように息の続く限りいきみます。
いきむときは声を出したり、息を吐いてしまうと力が抜けてしまうので、口を閉じて眼はしっかり開いてお臍を覗き込むようにいきみます。
分娩台についているレバーを握り、引くようにするといきみやすいですよ。
いきむ方向は、産道に沿って赤ちゃんを上方に押し出すよう、背中とお尻はしっかりとつけて肛門を突きあげるようにいきみます。
また、 痛みが怖くて眼を瞑ってしまうと顔に力が入ってしまうため、眼はしっかり見開いてください。
便秘の時にお通じを出すようなイメージで!
お通じが出てしまわないか心配になるかもしれませんが全然問題ありません!
むしろ出してしまった方が良いです!
赤ちゃんの頭が出るとき…
助産師から「いきむのをやめてください」と声があったら手を胸の上に置いてハッハッハッ!と浅く短い呼吸に切り替えましょう。
赤ちゃんの頭の一番大きな部分が出る瞬間で、お腹の力をゆるめて自然に産道を通過させるために行います。
陣痛が去ったら体の力を抜きましょう。
終わりに。妊娠中の呼吸法の練習とイメージトレーニングが重要です
いざ迎える出産本番のために、まずは、イメージトレーニングや呼吸法を練習しておくことが大切です。
痛みの感じ方、陣痛のはじまりや長さは人それぞれでこれをやったから必ずこうなるというものではありません。
それでも事前のイメージトレーニングや段階に合わせた呼吸法で陣痛を少しでもうまく乗り切れる助けになれば幸いです。
良いお産ができますように・・・
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